
日々起こる現場のトラブル対応に追われ、気づけば一日が終わっている。
クレーム対応、納期調整、急な欠員フォロー、判断の差し戻し…。本来は社員に会社の方向性や考え方を伝えたいと思っていても、腰を据えて話す時間が取れない。そんな状態が続いている経営者は少なくありません。
トラブルが「日常業務」になってしまう構造
現場で起きるトラブル自体は、どの会社でも避けられません。しかし問題なのは、それが一時的なものではなく、日常業務として常態化していることです。
- 判断基準が曖昧で確認が必要になる
- 役割分担が不明確で責任が集中する
- 情報共有が遅れ、手戻りが発生する
こうした状態では、小さなズレがすぐにトラブルへと発展し、その対応に経営者が駆り出される構造が出来上がってしまいます。
方針を伝えられないことで起きる悪循環
社員に方針を共有できないまま業務が進むと、現場では「とりあえず前例通り」「無難な判断」が増えていきます。
すると、「経営者の意図と違う方向に進む」「修正や差し戻しが増える」「さらにトラブルが増える」という悪循環に陥ります。
本来、方針共有はトラブルを減らすためのものですが、時間が取れないことで逆にトラブルを増やしてしまうのです。
経営者が現場に張り付き続ける限界
トラブル対応を経営者が肩代わりし続けると、組織は「困ったら経営者に聞く」体質になります。
短期的には問題が解決しているように見えても、「社員が判断経験を積めない」「同じトラブルが繰り返される」「経営者が抜けられなくなる」という状態が固定化されます。
結果として、経営者は経営判断や将来設計に集中できなくなってしまいます。
方針共有を「時間」ではなく「仕組み」に変える
忙しい経営者ほど、「時間が取れたら方針を話そう」と考えがちです。しかし現実には、その時間はなかなか生まれません。
重要なのは、方針共有を“特別な時間”に頼らないことです。
その鍵となるのが、「判断の軸」を日常業務に組み込むことです。
社員が迷ったときに立ち返れる基準があれば、細かな指示や都度の説明は減っていきます。
トラブルを減らす「MVV」という共通言語
判断の軸をつくるために有効なのが、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)です。
- ミッション:何のためにこの仕事をしているのか
- ビジョン:どんな状態を目指しているのか
- バリュー:迷ったとき、何を基準に判断するのか
これらを明確にし、日々の業務や判断に結びつけることで、社員は「聞かなくても分かる」状態に近づいていきます。
トラブルの多くは、判断基準が共有されていないことから生まれているのです。
まとめ
毎日トラブル対応に追われ、方針共有の時間が取れないのは、経営者の努力不足ではありません。
方針が仕組みとして組み込まれていないことが原因です。
MVVを通じて判断の軸を共有すれば、トラブルは減り、経営者は少しずつ現場から離れることができます。
社員に方針を伝えるために必要なのは、時間をつくることではなく、「迷わず判断できる共通言語」を組織に持たせることなのです。